美術教室の先生をはじめました03（脱ピーターパン）

 

 

２４歳頃の私は、個展やグループ展・美術コンクールに精力的に制作発表を行っていました。

 

 

 

美術家として一流に成りたいのであって、立派な美術教室の先生になることが目標ではありませんでした。

 

 

 

一流になるまでの生活の糧として芸術による教育の会に仮住まいさせてもらっていると考えていました。

 

 

サラリーマンには成りたくなかったし、夢物語の中で、周囲の人の心を無責任に傷つけてさえ自分の夢に向かってピーターパンのように冒険をしていました。

 

 

「芸のためなら女房も泣かす～」まさに、演歌の世界ですね。

 

 

 

その時に出会った本が心理学者ダン・カイリー著「ピーター・パン・シンドローム」と「ピーター・パン・コンプレックス」でした。

 

 

 

これは、私にとってかなりの衝撃でした。

 

 

心を握りつぶされるような不快で苦痛なものでした。

 

まさに、そこには私自身の性格について書いてありました。

 

 

 

自分自身のことが恥ずかしくなり、なかなか読み進められなかっとことを覚えています。

 

 

なんども同じページを読み返したりしながら、自分自身の歪んだ性格と向き合うことはとても辛いものでした。

 

 

 

それでも、読み進められたのは、自分自身変わりたいと思っていたからだと思います。

 

 

 

このままの性格を続けると破綻するか死んでしまうに違いないと気づいたからです。

 

 

 

数十日かけて読み終わった時には、心がスッキリしていたのを覚えています。

 

 

 

 

私にとっての人生の大きな分岐点の一つ「脱・ピーターパン」の始まりでした。

 

（つづく）

 

1987　屋嘉部正人個展（世田谷美術館区民ギャラリー）
今振り返ると・・描かれる対象が胎児のようで、
胎児から再スタートしはじめた心を表現しているようでもある。

 

  

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