土粘土で子どもの立体感覚を育む!

こんにちはつぶつぶ先生です!

カリキュラム紹介「土粘土」

そもそも粘土は粘度のある土のことを指しますので、土粘土は繰り返しの表現なのですが、美術教室ではわかりやすく陶芸用の粘土や彫塑で扱う土の粘土のことを土粘土と呼んでいます。園児や小学生が使う油粘土や紙粘土と区別するためです。

土を触るだけで癒し効果があるようです。子どもたちは粘土を出すとすぐに黙々と制作に向かいます。油粘土の臭いが苦手だったり、ペタッと張り付く感じを嫌がる子でも、土粘土だと触れます。幼児期は感覚が過敏なお子さんも多いので、粘土に苦手意識を持っている場合もあります。粘土の水分量を調節して少し固めにしておくと安心して触れることが多いです。粘土の管理やもう少し具体的なコツはまたの機会にお伝えしますね!今すぐ知りたい方はぜひすご美へのご登録をお待ちしています!

さて、教室でのレッスンの様子です。

今年度になってから幼児クラス2回目の土粘土です。だいたい1学期につき一回程度取り入れているので、今学期は少し多目かな?と思いましたが子どもたちはノリノリで制作を始めました。道具は使わず粘土だけでも1時間レッスンできるのですが、今回は割り箸や紐も使って立体表現にチャレンジです。

粘土でブランコ・奥に椅子があり、たまごちゃんが座っています。年長女の子の作品。

おいしそうなピザ。耳はカリカリだそうです。実体験が詰まっています。年長男の子。

粘土に割り箸を指して立てるだけでも、子どもにとって簡単なことではありません。粘土に突き刺すことは簡単にできるのですが、垂直に立てるのには深く刺し、割り箸と粘土の間に隙間を作らないようにして、ある程度の粘土の重み(量)が必要です。また、粘土板(机の面)に向けて力を入れながら粘土を抑え、バランスを整える必要があります。最初はうまくいっても、その後の展開でグラグラして倒れてしまうこともあります。そこから持ち直すには粘土を抑えてみたり、粘土を足したり、割り箸を指し直したりと「手加減」をしながら沢山の試行錯誤が必要になります。

粘土に割り箸を刺すけのことですが、子どもはそこから沢山の学びを得ます。粘土制作では手先の微妙な力の入れ加減を伝える・育むねらいもあります。

さて、子どもが一生懸命試行錯誤をはじめました。美術の先生はどのように関わるでしょうか?こんな感じです。

まずは見守ります。子どもの試行錯誤の時間を大切にします。手を動かすことは脳に直接的に働きかける行為と言われています。割り箸を立てようとしながら子どもの頭の中はフル回転しています。

工夫しようとすると倒れる・・よくあります。試行錯誤のチャンス!

子どもから「どうやるの〜できなーい!」と声が上がってもすぐには助けません。気持ちには共感します。「できないのか…どうやったらできるのかな?難しいね。」気持ちに寄り添うことで頑張る気持ちになれます。こうするんだよ、と手助けしながら簡単にやり方を教えてしまうと子どもの試行錯誤する機会を奪うことになります。手助けしたい気持ちを我慢しながら見守ります。子どもの頑張る様子をわかっていながら助けないというのは、とても厳しい姿勢だと思います。よく保護者の方から美術の先生は優しいから~と言っていただくことが多いですが、私自身はそんなことはありません、結構厳しいです。と思っています(笑)

先生の脳内イメージ

どんなに頑張ってもできないと諦めてしまうこともあります。諦めて他のことをやるのも良いと思います。しかし、頑張った先の達成感を得るというのも大切な経験だと思います。ずいぶん頑張っているな、まだ困っているなと感じたところで初めて声をかけていきます。

ほどほどに手伝う、サポートします。本人が自分の力でやれた、がんばれたと思えるようなサポートをする、これが美術教室の先生のプロの技ではないかなと私は考えています。手伝うね、といって手伝うこともあります。手伝わないで!という子もいますし、もっともっとと手伝わせるのが上手な子もいます。その子の性格や今まで関わりの積み重ねからどのようなサポートをするか見極めるのも大切です。

先生も試行錯誤しながら共に考えながらサポートします。

どんなサポートをするか、その方法は子どもの制作の中から見つけます。子どもの作り方や工夫の仕方を学ぶ気持ちで観察すると、たくさんの技があることに気が付きます。私達大人も小さい頃は試行錯誤しながら制作していたと思いますが、今は最善の最短の方法を見つけて大人のやり方が身についています。いきなり大人のやり方を伝授するのでは子どもは学べません。教え方は年齢(月齢学年)により違います。教える側も子どもなりの思考やその時できる運動能力によってできる形を見極めながら、更に試行錯誤の繰り返しです。私自身は立体制作が得意ではないので、得意な子から教えてもらうことが多いです。観察しているとたくさんの学びがあります。子どものできた!に共感し、一緒に喜ぶことで作る意欲を育てます。

土粘土の指導は専門家(彫刻・陶芸)からの視点もあると思います。
芸術による教育の会の中でも粘土指導は発展途上ですので、新たな気づきがありましたらまた報告していきますね!

※イラスト 教師:古澤真澄(ふるさわますみ)




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PROFILE

つぶつぶ先生
つぶつぶ先生
橋本円(はしもとつぶら)つぶつぶ先生です。
静岡県出身:40代
美術教室の先生として20年以上経ちました。武蔵野美術大学短期大学部(があったころ)美術科卒です。大学サークルアトリエちびくろのOGです(^^)
同郷の友人がすごく楽しそう活動しているのに魅かれてサークルに入りました。自分の思い出作りとして参加させてもらいましたが、子どもって面白い!そして、一緒に楽しむことを教えてもらいました。そのまま子どもと活動することの楽しさをもっと追求したくなり、現在も活動を続けているのかなと思います。
芸術による教育の会で子どもの指導を続ける中で、アート活動は子どもにとって大切な教育であると真剣に考えるようになりました。自分の子どもの育児においても、芸術による教育の会の理念は素晴らしく、仕事をする中で得た知識がとても役に立っていると感じています。アート活動が子どもにどんな影響がありどのように大切なものなのかを、子どもに関わるすべての大人に伝えていく使命があると思っています。