おねだり上手はプレゼン上手

赤ちゃんが生きていくために最も大事な対象はおっぱいです。

へその緒から供給されていた栄養も、生まれて間もなく絶たれてしまいます。

唇と舌の力を使って吸い付き栄養を吸入します。

赤ちゃんにとっての唇と舌の感覚と吸いつくスキルは最も敏感に磨かれます。

赤ちゃんにとってのお母さんのミルクは味覚のセンスを磨きます。

赤ちゃんが母から分離して生きていく世界は、羊水に浸かっていた時とは全く別世界です。

映画マトリックスの「ウェルカム・トゥ・ザ・リアルワールド」そのものです。

「泣かないと得られない」

母または母の代わりになる人の保護がなければ赤ちゃんは生きていけません。

極端な例ですが、

1、腹が空く→泣く(要求する) → 獲得する

2、または、腹はまだ減っていない→泣かない→決まった時間に獲得する

赤ちゃんと保護者との関係において、この二つの違いは人間形成上において大きな違いとなりそうです。

一方は、赤ちゃんが自らの今ある能力の全てを使って「私はお腹が空いています!!」と泣くことで伝えます。

その結果として、おっぱい(報酬)がもらえます。

他方は、お腹が空いていないけど・・お腹が空く前に定期的におっぱいがもらえ、自己主張しないでも満たされます。

どちらが、生きる力を育むかの議論の余地はないと思います。

豊かな上に少子化の現在の日本においては、子どもが求める前に親や祖父母が欲しいものはないかと尋ねて与える。

それって、赤ちゃんがおっぱいが欲しいと求める前に与えているのと似ていませんか?

赤ちゃんから幼児・・そして児童へと成長する過程で欲しいものを求める時の口説き方が変化し成長していきます。

まさに「表出から表現へ」(以前に書いた記事)です。

成長とともに求める報酬も大きなものとなり、それを得るためにはしっかり作戦を立てておねだりする必要が出てきます。

泣くだけでおっぱいをもらえた赤ちゃんと違い、新しい自転車が欲しい時にどのような言葉で親を口説き落とせるか?

この能力が社会に出た後のプレゼン能力や生きる力になると私は思っています。

子どもの要求(プレゼン)に親が真摯に向き合い、程よい抵抗をしながらも最後は一つの約束を結び、子どもの提案に乗っかる。

このプロセスで結ぶ約束こそが子どもの仕事へのモチベーションへと繋がるものだと思います。(誰かを幸せにするためにではなく、自分の欲求を満たすために仕事をする初期レベルのモチベーション)

要求してもいないのに与えてしまうよりは、むしろ「ダメなものはダメ!」と諦めさせることの方が子どもの成長になると思います。

その、欲求を満たせなかったことが大人になった時に、「未完の行為」としてのエネルギーになることはとても素晴らしいことだと思います。

でも・・子どもから提案された約束(契約)に親が乗っかり、それが履行された時に願いが叶うという経験は、子どもにとっての大きな仕事を成し遂げた達成感となります。

「やればできる」という自己肯定感は、諦めそうになったりくじけそうになった時の励みになると思います。



おねだり上手はプレゼン上手。


子どものおねだりは、強い意思と人を説得する能力を育む成長のチャンスです。

「どうせ、願っても叶いっこない」と諦める大人にならないように、子どもの意欲を育む機会ととらえ、子どものプレゼンに真摯に向き合うことをお勧めします。

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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。