
芸術による教育の会では教育内容を充実させるため、毎月一回研究会という集いが開かれています。
この中で特筆すべきは、美術教育、子どもの心の成り立ち、精神分析、カウンセリングなどに関するゼミナールが開かれることです。これは本会の教師が美術教室で指導するにあたり『芸術による教育』に関する正しい認識と理念を持ち、より良い教育を行うための勉強会です。本会元研究部長の故佐藤 かよこはハーバート・リード、ローエン・フェルド、ピアジェ、フロイト、メラニー・クライン、ユンク、などの理論と実践に精通し、精神医学と子どもの絵を結びつけた画期的な心の診断法を作り出しました。
これらの理論を学び、理解することにより子供の強い個性や特徴を把握して、その子どもに適した言動で対処することができるようになります。
そのためにも佐藤先生の子どもの絵による心の診断法は美術教室の教師として身につけなければならない知識なのです。
『芸術による教育の会』の目的は絵画や造形活動を通して子どもの情緒の安定化をはかり、知能を伸ばすことにあります。もちろん結果として絵を描くことが好きになり、そして上手になることは言うまでもありません。
どんな子どもでも固着点(幼児期に満たされなかった情緒が心の底にたまった状態)を持っています。その固着点は薄いベールとなって子どもを包み、伸びようとする知能にブレーキをかけてしまうのです。知能を伸ばそうと思ったら、その薄いベールをはがしてやればいいのです。これが『芸術による教育』です。
情緒不安の子どもに知識を詰め込んでも知能は伸びません。逆に統覚(因果関係)がとれなくなるばかりです。知識はあるが集団行動ができず、問題行動を起こすのがこの例です。
子どもの知能の高さは本質的には変わらないものです。環境や訓練によって伸びて行くものですが、固着点による情緒不安が伸びようとする知能をさまたげるわけです。
なぜ、子ども達の知能(『柔軟な思考力』)の育成を目的としている本会が子どもの心の問題まで取り上げるのか充分理解していただきたいのです。
芸術による教育の会の教師は、研究会でこういう勉強をしています。各教師が美術教室で個々の子どもに実践できるよう、これからも努力していきたいと思います。『芸術による教育』の輪がさらに広がることを願うしだいです。