明日への手美術展の開催にあたり
「明日への手」美術展は、本年で56回展を迎えます。この展覧会が産声を上げてもう半世紀がたちます。

様々な時代を乗り越え、様々な思いをのせ、子どもたちの気持ちをこめた作品を展示してまいりました。
また、2007年度は50回記念展という大きな節目に上野の森美術館にて、展覧会を大盛況にて開催することが出来ました。
ここまでたどり着けたことは、ひとえに皆様の深いご理解、ご協力の賜物だと思っております。
心より御礼申し上げます。

個性を示す機会の少ない社会にあって、自分を表現することはとても大切なことです。美術はごく自然にそれを可能にしてくれます。
美術は体力・年齢に関係なく、一生楽しめ、高尚な趣味としていつも自分の脇においてほしいといつも念願しております。
芸術による教育の会の目的は、美術を通して子どもたちに「柔軟な思考力」を身に付けさせることにあります。
工夫する楽しさ、試行錯誤の楽しさ、完成の喜び〜〜〜〜
子どもたちは日常のさまぎまな経験を経て、柔軟な思考力を身につけます。

柔軟な思考力がためされるのは、困難に遭遇したときです。
環境への適応。いきづまった時の壁を乗り越える考え方。ポジティブ思考。
昨日のゲシュタルトを捨てる勇気。平常時に工夫する勇気。ここ一番でがんばれる心。
いすれも人生を歩む上での武器となるものです。

全体を見渡せる能力。大事なことはどれかを見分ける能力。そしてそれに序列をつける能力。
流れを読む能力。規則性を見出す能力。合理的なバランス感覚。
未知のものや不思議に対する強烈な興味。知りたいと思う強い気持ち。
柔軟な思考力はまさに社会が望んでいるものです。

子どもたちへの期待は膨らみます。
次世代を背負って立つ子どもたちは、私たちの宝物です。
すこやかに成長してくれることを心から願うしだいです。
伝統ある「明日への手」美術展を心ゆくまで楽しんでください。
とうぞ子どもたちの力作を心ゆくまでご堪能いただきたいと思います。

芸術による教育の会
代表取締役
寺尾  憲