本会は昭和29年に、親と子と教師を結び、『芸術を通しての正しい教育』を行う目的で発足する。
昭和30年11月に全国各地から児童作品を集め、第1回『明日への手』児童美術展を開催、以後毎年開催する。
昭和36年、知性社より、『子どもの才能を伸ばす父親の条件、母親の条件』を刊行する。
昭和40年代および50年代は、アートフェスティバル、壁画展、国際児童画展などを通じて国際交流をはかる。
昭和43年に故坂田道太先生を会長として迎える。
昭和50年代後半からは、幼稚園教師の美術指導、幼稚園および小学校での講演、父母との個人面接、カウンセリングなどに力を注ぎ、機関誌の発行などを通して『芸術による教育』を広め、多大な成果をおさめる。
昭和61年、本会創立30周年記念として『子どものこころは絵でわかる』を出版する。この本は、日本図書館協会の選定図書に選ばれ、幼児・児童のご父母、幼稚園の先生、小中学校の先生、各地の教育委員会、などから好評を博している。
現在、『芸術による教育』をより多くの皆様に御理解いただけるよう、首都圏各地での美術教室の新開設を進めるとともに、定期的に研究会を開き『芸術による教育』を実践できる美術教師の育成に力をそそぐ。
※芸術による教育の会は、不偏不党であり、宗教活動や宗教思想に属さない。
芸術による教育の会元研究部長の故佐藤 かよこは、心理学、教育学などを美術に取り入れ、画期的な体系を作り上げました。以下は、芸術による教育の会の教育理念および教育方法の基礎です。
教育学、心理学、教育心理学、心理療法(カウンセリング)、芸術による教育。
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- *フロイト/ リピドー、心理・性的発達、エディプスコンプレックス
- *ユング/ 深層心理、元型、大母論、外向的と内向的、アニマとアニムス、ロールシャッハ象徴学
- *メラニークライン/ 乳児・幼児の精神医学、良いおっぱいと悪いおっぱい、妄想分裂態勢、抑うつ態勢、つぐないの心理、いないいないばー、完璧な赤ちゃん論
- *古沢平作/ 阿闍世コンプレックス
- *ウイニコット/ 遊びの現象学、ブランコ、シーソー、ゆりかご
- *ボールビィ/ 愛着理論(アタッチメント理論)、移行現象と移行対象
- *エリクソン/ フロイトの心理性的発達論を社会的発達に発展させるパーソナリティの発達、ライフサイクル
- 各種コンプレックス
- *エディプスコンプレックス
- *エレクトラコンプレックス
- *カインコンプレックス
- *ダイアナコンプレックス
- *ピーターパン症候群
- *シンデレラコンプレックス
- *グレーテル症候群
- *阿闍世コンプレックス
- *劣等・コンプレックス(アドラーの心理)
- *マザーコンプレックス
- *ウエンディージレンマ
- *白雪姫の母・コンプレックス
- *退行コンプレックス
- 心理学
- *ピアジェの心理/ 発達心理、知的、認識論、アニミズム論
- *ゲシュタルト心理学/ 視覚心理、地と図の関係、柔軟なゲシュタルト、統覚、未完の行為、ケーラーのチンパンジー
- *パブロフの条件反射(あめとむち)
- 教育学と教育心理
- *モンテッソリー
- *フレーベル
- *デゥーイ
- *ハーバート・リード/ 芸術による教育
- *ギルフォード/ 創造性の検査
- *ゲッツェルスとジャクソン/ 創造性について(第3の知能)
- 心理療法
- *実存主義的アプローチ
- *交流分析
- *集団カウンセリング
- *ゲシュタルト療法
- *芸術療法(アートセラピー)
- *論理療法
- *病跡学
- *行動療法
- 子どもの絵と心
- *ローエンフェルト/ 形の発生(いかに内発的であるか)、視覚的タイプと触覚的タイプ、子供の絵の発達
- *ボアン・ミロ/ (形はいかに生態的であるか)
- *ヴォリンゲルの抽象と感情移入
- *霜田静志
- *林部伝七/ 粘土工法による子供の性格分析
- *チゼック/ 自由画
- *ケペシュ/ 視覚言語
- *バシュラール/ イメージ論
- *ユングによる象徴(太陽論)
- 各種テスト
- *知能検査(ウィスク法、田中ビネー式など)
- *人物画テスト
- *ロールシャッハテスト
- *エゴグラムテスト
- *CAT(子供用統覚検査法)
- *絵画からの性格分析(無意識の投影法)
- *KFDテスト(動的家族画テスト)
- *HTP(家、木、人)
- *象徴学(無意識の投影法)
- *バウムテスト
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- 以上の理論などを基にして、芸術による教育の会より、「子どものこころは絵でわかる」を出版。
子どものこころは絵でわかる(芸術による教育の会)
※芸術による教育の会は、偏った教育思想にならないように幅広く研究を行っております。
芸術による教育の会の研究会
芸術による教育の会では教育内容を充実させるため、毎月一回研究会という集いが開かれています。
この中で特筆すべきは、美術教育、子どもの心の成り立ち、精神分析、カウンセリングなどに関するゼミナールが開かれることです。これは本会の教師が美術教室で指導するにあたり『芸術による教育』に関する正しい認識と理念を持ち、より良い教育を行うための勉強会です。本会元研究部長の故佐藤
かよこはハーバート・リード、ローエン・フェルド、ピアジェ、フロイト、メラニー・クライン、ユンク、などの理論と実践に精通し、精神医学と子どもの絵を結びつけた画期的な心の診断法を作り出しました。
これらの理論を学び、理解することにより子供の強い個性や特徴を把握して、その子どもに適した言動で対処することができるようになります。
そのためにも佐藤先生の子どもの絵による心の診断法は美術教室の教師として身につけなければならない知識なのです。
『芸術による教育の会』の目的は絵画や造形活動を通して子どもの情緒の安定化をはかり、知能を伸ばすことにあります。もちろん結果として絵を描くことが好きになり、そして上手になることは言うまでもありません。
どんな子どもでも固着点(幼児期に満たされなかった情緒が心の底にたまった状態)を持っています。その固着点は薄いベールとなって子どもを包み、伸びようとする知能にブレーキをかけてしまうのです。知能を伸ばそうと思ったら、その薄いベールをはがしてやればいいのです。これが『芸術による教育』です。
情緒不安の子どもに知識を詰め込んでも知能は伸びません。逆に統覚(因果関係)がとれなくなるばかりです。知識はあるが集団行動ができず、問題行動を起こすのがこの例です。
子どもの知能の高さは本質的には変わらないものです。環境や訓練によって伸びて行くものですが、固着点による情緒不安が伸びようとする知能をさまたげるわけです。
なぜ、子ども達の知能(『柔軟な思考力』)の育成を目的としている本会が子どもの心の問題まで取り上げるのか充分理解していただきたいのです。
芸術による教育の会の教師は、研究会でこういう勉強をしています。各教師が美術教室で個々の子どもに実践できるよう、これからも努力していきたいと思います。『芸術による教育』の輪がさらに広がることを願うしだいです。
芸術による教育の会の講演会
芸術による教育の会では、毎年、母の会や幼稚園、教育委員会、幼稚園の団体のご要望をお受けし、『子どもの心は絵でわかる』『子どもの性格はいかにつくられるか』『動的家族画から子どもの心を知る』『0才から2才までにつくられる心』『子どもの知能の発達について』などをテーマにスライドを使った講演会を執り行っております。幼児から少年、思春期、大人へと成長していく中で幼児期までの心の形成がどれほど重要かが取り沙汰されている現在、絵を通しての精神分析などが各方面で注目されております。お子様が通われている幼稚園や学校におきまして、講演会を予定なさる節は、ぜひ芸術による教育の会にご依頼くださいますようお願いいたします。特に5月から7月にかけては講演会のご依頼が多くなります。お早めにお申し込みください。子どもたちの健やかな心の育成にお役に立てれば幸いかと存じます。