「違和感」
生きていると、ふと立ち止まってしまうような違和感に出会うことがあります。
人との違いに戸惑い、孤独を感じるときもあれば、それによって自分自身の輪郭がはっきりと立ち上がるような瞬間もあります。
私はこの“違和感”を、大切な感覚として描き続けています。
作品では、「生と死」「無垢と狡猾さ」といった相反するものを、少女という存在に託して表現しています。
それらは融合しきることなく、かすかな歪みや不穏さとして画面に残ります。
けれどその“融合しきれなさ”こそが、私にとっての美しさであり、真実に近いものだと思うのです。
花や蝶、猫などの象徴的なモチーフを添えながら、光と影、静けさとざわめきが共存するような小さな世界を編んでいます。
油彩ではアルキド樹脂絵具と油絵具の混合技法による重層的で緻密な光の表現を、鉛筆画では細やかなハッチングによる濃淡の美を通して、儚くも確かな存在を描き出そうとしています。
ご覧になった方が、自身の中に眠る矛盾や葛藤をそっと抱きしめ、自身を再確認できるようなきっかけとなれば嬉しく思います。
田口淳子 個展
~少女たちの甘い罠~
2025.5/31(土)-6/8(日)
※月火お休み
12:00-19:00(最終日17:00まで)
みうらじろうギャラリーbis
東京都中央区日本橋大伝馬町2-5 石倉ビル3階
日比谷線小伝馬町駅3番出口より徒歩2分