「鴻巣アートの森」購入物語 Part-03

昨年2017年12月17日の見学会から約二週間がたった12月29日、Chatworkを介して「鴻巣北根の家の募集要項.pdf」が見学者に配布されました。

見学後、購入したい方は募集要項に必要事項を記入してエントリーしてくださいということです。

もちろん、私たちはすぐにエントリーしました。

私は、「売主のTさんに喜んでもらうためにも、私たちがこの場所を購入する!」「芸術による教育の会に買ってもらってよかった」と思っていただきたいという強い決意を持って募集要項に必要項目を記入しました。

そして約一ヶ月後、今年2018年1月31日にTさんからお返事がありました。

家族会議(笑)の結果、満場一致で貴団体にぜひご購入を検討いただければ、という話となりました。

・私たちの描く使用用途の想像を超え、北根の家をうまく活用いただけるイメージがわいたこと、

・一家族での運営よりも、会員様を巻き込んでの活動にのほうが継続性があること、

上記2点が、ご回答いただいた応募フォームより読みとれ、ぜひ使っていただきたいと思いました。

私は、この嬉しい知らせにガッツポーズを決めることなく・・・

「これからが大仕事だぞ!」と次の難関へ向けての策を練り始めたのでした。

その難関というのは、「仲間をいかに説得するか?」という問題です(笑)

(え!? いまさら、そこですか?)と言われそうですが・・・

私たち芸術による教育の会は約40名の正社員と約40名のパートタイマーのアーチストが集った団体です。

ざっくりいうと、画家・彫刻家・デザイナー、イラストレーター、工芸家の集団です。

個性的というと聞こえはいいですが、一筋縄ではいかないめんどくさい独自性の強い人たちの集団です。

私が、「山を買いたい!」と言って、「面白い!ぜひ!」と子供のように乗ってくる人たちは3割くらい。

反対が3割くらい。

無関心・成り行き任せが4割と言ったところでしょうか?

本会は創設理念として、「子どもたちへ芸術を通して本物の生きる力を育もう!」という目的を持っています。

芸術による教育の会という組織は大きな船のようなものです。この船の乗組員は共通の目的を持って目標を定め、それぞれの個性やスキルを活かしながら運行しています。

目的がそれぞれ自分勝手な独創的なものであれば目標は定まらず、船は前進することなくぐるぐると回り迷走し続けるに違いありません。

本会を運営するにあたり、最も大切な理念と目的だけは全くぶれることなく64年間貫き通しています。そもそも、目的に則っていない目標は定めません。

本会の生徒たちと保護者の皆様は、その目的に賛同し乗船してくださっているわけです。

「山を買う」という目的も「芸術による教育」という目的に則ったものである必要があるのです。

「山を買おう!」というのは私の提案ですが、芸術による教育の会という船に新しい機能を取り入れるわけですから、生徒や保護者そして先生たちの夢を叶えることが目的であり、美術家としての私自身の夢を叶えるものではありません。

子どもたちが森という大自然と関わる中で、手を動かし、自然を整えたり、自然物を工夫して生活に活かせるものをつくるスキルを身につけさせたい。その活動は、私たち芸術による教育の会の設立の目的の1つ「子どもたちへ芸術を通して本物の生きる力を育もう!」に則ったものであるはずです。

森を買うべきか買わざるべきか?

森を買って、その森から学ぼう!

それは、私たち芸術による教育の目的に則っている!

私のこの主張で、賛成4割、反対1割、判断できない5割くらいになったように感じました。

美術家の集団のみならず、どこの家庭でも学校のクラスでもクラブ活動でもそうです。

複数のグループになると、一枚岩で全員賛成ということはほぼありません。

もし、誰かが何かを提案して、全員が「賛成!」と手をあげるのなら、それは大したことのない提案だと言えるでしょう。

その提案は失敗のリスクがほとんどない安全で安心なチャレンジしていない提案だから全員が迷いなく賛成と言えるのではないでしょうか?

しかし、まだ経験したこともないような新しい提案にはリスクがつきものです。

不安があって当然です。

リスクや不安に立ち向かうためには、それに負けないくらいの価値を生み出す必要があります。

リスクや不安に負けず走り続けた先のゴールに大きな感動が待っているのか?

その提案が成功した時に私たちは何を見ることができるか?

どんな素晴らしい達成感を味わえるのか?

これは、アーチストならだれでも想像できるものです。

真っ白なキャンバスに何時間もかけて絵の具をなすりつける。

絵画なんて、物質的には麻の布に顔料がなすりつけられただけのものです。

下手に描くと、無駄な時間をかけて本当にただのゴミを作るようなものです。

しかし、画家は自分の力を信じ前向きに想像します。

「その新しい作品が仕上がった後にどんな素晴らしいものと出会えるのか?」

「もし、それを自らの力で描き出せたら、どれだけ大きな達成感を味わえるのか?」

まだだれも描いたことのない、自分の内側にだけ存在する妄想かもしれないイメージを他者にも知覚し共感できる形に描きあげる。

もし、たとえその妄想が現実にならなくとも・・一度や二度の挫折で諦めることなく、何度もなんどもチャレンジし続ける。

本会がなぜ美術大学出身のアーチストしか採用しないのか?

アーチストは、まだ見ぬものと出会うためにリスクや不安と戦いながら、何時間も何日も試行錯誤を繰り返しチャレンジし続ける人たちだからです。

人生そのものがそんなものじゃないですか?

「森を買う!」

私たちにとっては、森というフィールドがキャンバスなのです。

画家は、他者をシャットアウトして自分勝手に絵を描けます。

画家にとってのキャンバスは、画家の心そのものであり、他者が介入できないものとして守られた世界です。

森というキャンバスは違います。

森では、自分だけの時間も過ごせますが、森を媒体に他者と共同で表現するフィールドです。

それは、実社会に近いものです。

森の中では、一人一人が何らかの問題に気づき、それに対するユニークな答えを自分で見つける。その解き方さえ一人一人違っていい。

本会で30年近く先生をしている下段さん。問題に気づき、何かを作り始めました。

なんと!「竹ぼうき」です。 「道いっぱいの落ち葉を綺麗にしたいのにほうきがない。」 「それなら、作ればいいじゃないか!」 これが、私たちの目指す「芸術による教育」の1つの解です。

そして、一人では太刀打ちできない問題が森の中にはゴロゴロと転がっています。

そんな時には、友達と知恵と力を貸しあって解決するチャンスです。

森は美術の大先生です。

子どもたちだけでなく、私たち大人も楽しい森の活動を通してますます成長するでしょう。

そんなことを熱く語りながら、仲間を説得し続けたのでした。

先生たちが母屋に集まって指導研究会をしました。

「鴻巣アートの森」購入物語 Part-04へと続く・・・




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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。