幼児に話すちょっと怖い節分の話

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屋嘉部流節分のお話(幼児編)

私は毎年幼稚園の園児たちに節分の話をします。

ちょっと怖いですよ。


みんな、節分って知ってる?

そう!「鬼は外!福は内!」って豆をまくよね。

なんで、そんなことするんだろう?

節分は、季節を分けるって意味なんだよ。

季節の変わり目は守ってくれる神様が留守になっちゃうんだよ。

特に、冬と春の間の節分は目に見えない魔物や鬼が出やすいんだって。

冬の神様はもうすぐ春だから帰り支度で忙しい。
春の神様は春の仕事の支度で忙しい。
その隙をついて、鬼が好き勝手に悪さをするんだ。

昔々、2月3日の節分の頃は病気をこじらせて死んでしまう人や火事や災いが起こることが多かったんだって。

人間はそういう災いや事故などを鬼の仕業に違いないと思ったんだって。

鬼の厄介なところは、人間には鬼の姿が見えないところなんだ。

だから、鬼がどこにひそんでいるか人間にはわからない。

鬼はあまり子どもが近づかないようなひっそりとしたところが大好きなんだよ。
危険なところが大好きなんだ。

鬼は暗闇や隙間に隠れて、いたずらできそうな子どもを探しているかもしれないよ。

そして、鬼は子どもの体の中に入ろうとしているのかも。
鼻の穴や口の穴、耳の穴などから体の中に入ってくるのかなあ。
鬼が体の中に入るとその子どもに悪さの誘いをはじめるよ。

「お友達に意地悪しようぜ!」
「お母さんとの約束を破っちゃおうよ!」
「わがまま言って泣いちゃえばいいんだよ!」

鬼は誘惑に負けない心の強い子どもが嫌いらしいよ。自分の誘いにのってこないから退屈なんだろうね。

だから、鬼は「つまんないの!」って言って、子どもの体から出て行っちゃうのかもしれないね。

もし鬼の誘惑に負けてしまうと、鬼は大喜び!
「君はすごいね!悪さの達人になれるよ!」と鬼は子どもの体の中で成長するんだ。

そして、もっと悪いことを誘ってくるんだよ。

「よし、君はレベルアップしたぞ!もっと悪いことを教えてやるよ!」といって、どんどん悪いことをするように誘うよ。

「ウソついてダマしちゃえ!」
「あいつのおもちゃを盗んじゃえ!」
「河原で水遊びしようよ!」
「あいつのこと叩いちゃおうよ!」

そのまま、鬼の誘惑にのるとついにはお父さんやお母さんでも止められなくなるんだよ。
そして大人になるとすごく悪い人になってしまうんよ。
そうなると、もう豆まきくらいでは鬼は追い出せないんだよ。
おまわりさんに捕まえてもらって牢屋に入るしかないかも。

みんなは、そんなすごい悪い人になりたい?

なりたくないよね。

そのために大事なのは、鬼の悪い誘惑に負けない強い心を育てればいいんだよ。

お父さんやお母さんは、「悪い人には気をつけなさい。」「悪い人に誘われてもついて行っちゃいけないよ。」って心配するよね。

でも、よく考えて欲しいんだ。

どんなに悪い人ですらみんなと同じ子どもの頃から、「俺は悪い人になるぞ」っていう人はいないんだよ。

子どもの頃は誰だって悪い人にはなりたくないんだよね。

「君たちは悪い人にならないでくださいね。」

「人を騙したり傷つけたりする悪い人にならないでくださいね。」

良い人になるのも悪い人になるのも、自分の心次第なんだよ。良い心を育てるか悪い心を育てるかは自分次第なんだ。

良い人になるには、子どものうちから他の人のために良いことを繰り返し練習するといいよ。
すると・・大人になると、すごく良いことで他の人たちを幸せにすることができる力が身につくよ。

「私の中に鬼がいたらどうしよう・・」って心配になってきた子はいないかい?

実は、私の体の中にも「怠け鬼」が住んでいるんだ。

ついついめんどくさいって思って怠けたくなるんだよ。

君のお父さんお母さんにも鬼が住んでいるかもしれないよ。

どんな立派な大人も、小さな鬼が住んでいるのかも。

「怠け鬼」
「怒りんぼ鬼」
「いらいら鬼」
「知らんぷり鬼」

大切なことは、体の中に住んでいる鬼を大きくしないこと。

だから、大人も「鬼は外!福は内!」節分には豆まきをするんだね。

年の数だけ豆を食べて、体の中の鬼を追い払うんだね。

「僕も最近弟に意地悪だなあ・・」
「お母さんとの約束を守らないなあ・・」
ひょっとしたら鬼が住んでいるのかもと心配になった君は、鬼の悪い誘惑に負けないように気をつけようね!

鬼が体の中に住んでいない完璧な人間はいないのかもしれないね。

だから、みんなで

鬼は外!
福は内!


この話をすると、涙目になる子どもや耳をふさぐ子ども・・「そんなの作り話だよ!」と心配になる子どもがいます。保護者からは「怖がって夜眠れませんでした」と言われます。

「君は悪い子だ!」と言われると嫌だし、認めたくないけど・・「君は良い子だけど・・君の中にいる鬼が悪さをしているのかもしれない」と言われると、「そんなわけないよ!」と強がる子どもたちも本心ではとても心配になります。
「僕が弟におもちゃを貸さないのも鬼の仕業なんだ」と考えます。

鬼が体の中で育つのを怖がります。

鬼を退治したいと思います。

子どもの人格を傷つけることなく、※幼児特有の「アニミズム的思考」を利用して鬼の仕業にしちゃいましょう。

鬼さん、いつも悪者にしてごめんなさい。

※幼児特有の「アニミズム的思考」についてはいつかブログで取り上げたいと思います。


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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。