「学校に行かないでいいよ」part2

なぜだか理由はわかりません。

不登校になる生徒を何人か見て来ましたが・・

なぜだか・・小学校2年生か4年生にほとんど集中しています。

私のアドバイスはいつもワンパターンです。

「学校なんて行かないでもなんとか生きていけます。」

心の底からそう思います。

保護者の皆さまはワラをもすがる思いなので、とりあえず騙されたと思って私のアドバイスを聞いてくださいます。

私は過去の経験から、

「二週間後・・そして二ヶ月後に大きな変化がありますよ。」と伝えます。

まるで催眠療法の詐欺師のようなセリフですよね。

私にもなぜだかわからないのですが・・

ほとんどすべての子どもは二週間後に変化があります。

そして、二ヶ月後に大きな変化があります。

多分、赤ちゃんのようにしていることが退屈になったんでしょう。

ぬくぬくとして心地よい時間も二週間では飽きてしまうということだと私は思っています。

本来、子どもは育ちたがりです。

年相応の発達に即した活動をしたくなるものです。

「もっとよくなってほしい」と外圧をかけるから、子どもは疲れてしまい赤ちゃん返りをします。

「あなたはそのままで十分よ」と言われて、ずっとそのまま赤ちゃん返りしたままの子どもを私は見たことがありません。

でも、気前よく赤ちゃん返りさせてあげることがポイントです。

「いつになったら学校に行ってくれるんだろう?」とか

「学校行かないんだったら、ゲームはしちゃダメ!」とか

学校に行かないことに罪悪感を持たせては、退行からの脱却が長引くばかりなのです。

2〜4歳の頃まで気前よく戻してあげないと、二週間経っても変化は期待できません。

むしろ・・もっと幼い0歳や1歳までまたは胎児のように退行してしまうこともあります。

部屋に引きこもってしまうのもその一例だと思います。

お母さんのお腹の中のように守られた空間

何もしないでゴロゴロしているだけで外からの外圧をシャットアウトできる空間

そのような引きこもりの生徒も見て来ましたが・・
ご両親が外に出そう出そうと思っているから引きこもるのだと思います。

部屋の外に出るのが健康で、部屋に閉じこもっているのが不健康だと決めつけているからこそ、子どもは外に出られないのです。

小さな子どもがお母さんの足にしがみつき、みんなと遊ばないときに、引き離そうとすればするほど膝にしがみつく様子に似ています。

カンガルーの赤ちゃんのような状態なのですから、「いつでも膝に戻ってイイよ」という居場所を確保してあげると子どもは親から離れたがるのです。

「引きこもった子どもをいかに外に出すか」ではいけないのです。それでは子どもを不安にさせるばかりです。

「もしよかったら、あなたがお気に入りのその部屋にお邪魔してイイですか』という態度であるべきです。

もし入室が認められても、その子にとっての安心で安全な場を脅かしてはいけません。その子のおもてなしに身を委ねて過ごすことです。主導権はその子にあるのです。

そして、「ありがとう。楽しかった。また遊びに来てもいい?」と言って立ち去るのです。

その子を外に出すことが目的ではなく、その子が安全だと感じるその子の土俵に上がって、その子の言葉に耳を傾け、その子の世界に身を委ねる。信頼関係を作ることが大切です。

Kちゃんは、いつでもお母さんのお膝に帰れる。自分の場所があるということを二週間で確認しました。

知能は4年生。でも情緒は4歳からの再スタートです。

4歳の子どものように、小さなつまずきでさえ、不安になり母の元に戻ってくるでしょう。

そのときに、母は体の大きさやその知能の高さに合わせて対応しないことです。

「何言ってるの!それぐらい一人でできるでしょ!」ではなく

「大丈夫?気をつけてね。」と4歳の子どもの初めてのお使いのように接するのです。

体の大きな4歳の子どもだと思い、いつでも膝に戻れるように安心と安全の場を確保しておくことです。

Kちゃんが学校に行きたいと言い出したときに以下のアドバイスをしました。

1、半日で帰りなさい。
2、お母さんが送り迎えをしてください。
3、学校は行かなきゃいけないところじゃないよ。嫌な日は行かないでください。

その後、Kちゃんは徐々にペースをつかみ、小学校を卒業するまで順調に学校に登校しました。

これで、話が終わると美談でおめでたいのですが・・

しかし、あることをきっかけにして、Kちゃんは中学校にはほとんど登校しませんでした。

(つづく)




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PROFILE

屋嘉部 正人
屋嘉部 正人芸術による教育の会GM
沖縄生まれの大阪育ちの千葉県野田市在住
多摩美術大学絵画学科油画専攻卒業
横浜美術大学絵画コース非常勤講師

大学四年生から芸術による教育の会で美術教室教師としてアルバイトを始め、大学卒業とともに同会に入社。

美術家として個展やグループ展など多数発表を続け、新制作協会に所属。

50歳を機に人生をリセット
・右利きを辞めて左利きとして生まれ変わる
・やりたくてやらなかったことを全てやる
52歳で新制作協会会員を退会
53歳でこれだけはやめられない一番好きなお酒をやめる
・芸術による教育を全国に広める伝道師として芸術による教育の会GMとなる
・「紙コップのインスタレーション」を各地で実施。