クモのはなこちゃん

幼いとき、夜になるとかべにひょっこり現れるクモが嫌いだった。黒くて足がいっぱいあって、今でも苦手だ。

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クモが出てくるとわーわー怖がっていた私をみかねて、母親は

こう言った。「クモはな~んにもしないのよ。悪いことしないどころか、悪い虫をいっぱい食べてくれるし、とても優しいのよ。そうだ名前をつけましょう。」

こうして我が家に毎日お出ましになるクモに名前がついた。

『はなこちゃん』

私はそれから、魔法にかかったように、はなこちゃんが出てくるのを楽しみに待つようになった。もう怖くなかった。

『はなこちゃん』 名前がついただけなのに。

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はなこちゃんが出てくると、私はすぐに母を呼び、『はなこちゃんが出てきたよ!』と伝えにいく。出てこないと、『今日ははなこちゃんは来ないみたい。どうしたんだろう?』

クモはたいてい同じ時間にやってきた。そして朝になるといなくなった。私はとてもそれが不思議だった。

4年生になっても、5年生になっても、我が家ではクモは『はなこちゃん』と呼ばれた。 はなこちゃんは、母の言う通り、私に危害を加えることもなく、ただおとなしくじっとしていた。

『ほらね、なにもしないでしょ? 』 母は言う。

やっぱり、はなこちゃんは優しい虫なんだ。そう思ったらとてもかわいく見えてきた。

なので、私は今、子どもたちに同じことを言う。

『クモはなんにもしないのよ。悪い虫を食べてくれる優しい虫さん。そうだ名前をつけましょう。』

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PROFILE

ももこ先生
ももこ先生芸術による教育の会保育事業部長
武蔵野美術大学 油絵科卒
芸術による教育の会教師
子どもたちの面白い、ふしぎな発想が大好きです。美術を通して子どもたちの世界をたくさん知りたいと思っています。