美術教室ってどんなところ?表彰式と展覧会、10年通い続ける生徒さんからの言葉。

どこにいてもネットを通じて美術が学べる「どこでもアートきっず」と、東京・神奈川・埼玉・千葉で美術教室を運営している「芸術による教育の会」ブログ担当です。

毎年この季節になると、美術教室の生徒さんの作品を各地で展示する展覧会を催しています。
それは一枚の絵であったり、思い思いに形作った造形の作品であったり。
また、それぞれ講師たちの作品も展示します。

作品を見ていくと、普段の教室ではなかなか会えない生徒さんの名前も。
そう、芸術による教育の会では、10年通ってくれた生徒さんに対して月謝を無料にし、学業や仕事が忙しくなっても来れるとき・好きなときに来てもらえるようにしています。
そうして10年以上もこの会との関係を続けてくれている生徒さんも展覧会には作品を出してくれたりするのです。


また、展覧会と同時に表彰式も行っています。
当会の美術教室では、技術的な上手い下手で評価をつけることをしません。
代わって、美術教室に通ってくれた年数で表彰しています。

途中、10年表彰を受けた14歳の生徒さんが、代表でスピーチをしてくれた内容をご紹介したいと思います。そして、そのスピーチをいただいた後のゼネラルマネージャー屋嘉部からの祝辞にもこの美術教室の理念や想いが詰まっていました。

■代表生徒さんのスピーチ

美術教室に入会して、早10年。
入会したての4歳の頃の私は、果たして何をしていたのか。断片的な記憶しかない。
しかしながら、この10年間の経験が考え方や物の捉え方、性格などに大きく反映されていることは間違いない。

私は美術が好きだから、というよりもただ純粋に楽しそうだからという理由で入会した。
しかし10年間続ける中で自らの発想を、目に見える形で表現する美術に楽しさを見出し、入会当初では考えもしなかった絵を描くようになった。
それだけでなく立体の認識能力を幼い頃より鍛えられてきたため、地図のみ取りなどでも迷うことなく判断できるようになった。

私は、特に小学生の頃、自分の絵が評価されることはほとんどありませんでした。
評価をされないのに、美術教室に通うことは意味があるのか。
結論から言うと、とても意味のあることだと私は思います。
小学校では、子供らしくのびのびとした絵が評価されます。しかしそれだけではもったいないと思っている。たとえ甘い言葉をかけられなくても、自分の感性に基づいて自分らしい美術作品を生み出すこと、それが真の美術であり作品を生み出す楽しさではないでしょうか。

美術教室ではたとえ評価されない作品であっても、自らの完成と向き合うことができた。
そうした中で私は感性を伸ばしてきたと思っています。
美術教室の先生に感謝するとともに10年続けさせてくれた両親に感謝を申しまして、私の発表とさせていただきます。

■ゼネラルマネージャー、屋嘉部の祝辞

改めまして、皆さんこんにちは。
本日ここに座っていらっしゃる保護者の皆様、5年間、10年間、美術教室に送り出してくださってありがとうございました。

彼のスピーチを聴きながらウルウルしてしまいました。
君が僕の言いたかったことを全部言ってくれたんですけど、私も今日みんなに送りたい言葉は
、ここにいる先生の少し先輩の私から「美術は、好きな絵を描きなさい」と言うことを伝えたい。

学校の評価が悪いとは言わないけど、それだけじゃなくて美術というのは自分の本当の「本物の自分」をキャンバスの中に表現するのがいいことです。
誰に気を使うこともなく、自分のありのままをそこに映し出す。時には「汚い色だね」と言われて傷つくことかもしれないけど、そんなことは問題じゃない。プロの美術家だって絵の具をぐちゃぐちゃに混ぜたい気持ちもあります。
新しいものを作るには、壊さなきゃいけない。ただ、積み上げていくだけだとその先、大きな光景は見えてきません。

人間はバランスが取れているときは居心地がいいけど、一歩バランスを崩すと居心地が悪いからと戻ろうとします。美術もそういうところがあります。バランスを気にすることは悪いことではないけど、ダイナミックにモノを潰して新しいものを作ろうと思ったら崩れた反動を利用して動いていかないと新しいものはなかなか作れない。
美術のキャンバスの中では色んなチャレンジができる。いっぱい挑戦して、いっぱい失敗してください。多分、描いてる本人は失敗だと思っていないと思います。どんどん進化していく途中の段階。それをたくさん寄り道した人はたくさん色んな経験をして、伸びると思います。

美術教室でね、賞状というのは今回しかないんです。ケチってやってるわけではなくて、評価をするのは難しい。「良い絵」とは誰にとって「良い絵」なのか。選ぶ人がものを選ぶとき、その人の主観が入る。するとどうなるかというと、描く君達が先生の目を気にして空気を読み、自分のありのままの絵を描くことはできない。キャンバスは、お父さんやお母さんが認めてくれないものも認めてくれる。

どういうことかというと、みんな小さいとき、手放せなかったハンドタオルとかぬいぐるみとか、「持っていると安心するもの」があったと思います。
いつもそれがあれば、お出かけしていても安心みたいな。スヌーピーでいうライナスの毛布です。
「安心毛布」と呼ばれているあのライナスの毛布は、専門用語で「移行対象」というのですが、むしゃくしゃした時にしゃぶしゃぶして、ポイしてふみ付けても、絶対に裏切らない。自分の気持ちを絶対にいつでも受け入れてくれる。キャンバスも同じようなものがある。

キャンバスは叩いても切っても良いんです。人を切ったらダメだよね?でもキャンバスの中はどういう表現をしても自由なんです。みんなは学校の絵を上手く描こうとしているけど、美術教室では素顔のままの絵を描いてください。これからも素直な表現をずっとずっと続けていってほしい。10年表彰のお友達は、これからはもう先生たちの仲間です。

なんでこういう言い方をするかというと、この30年、10年を機にやめる人がたくさんいたんです。「これは卒業証書だ」と。で、辞めた後教室に顔を出さなくなるから、「あの子今頃どうしてるんだろうな」というような、関係が薄くなっていった。
先生たちは皆さんのお月謝で生活しているってわかるよね?だからみんながやめると先生たちの生活が苦しくなる。でも、10年表彰でお月謝をなくして会えなくなるのか、それとも無料にしてずっと仲良くする、どちらが良いのかずっと考えた。それで、無料にしてずっと付き合いたいと思った。だから、これを機に教室から離れず、より熱く作品を作ってほしい。

ただ、みんなもう大きくて、忙しい時期になってきている。毎週これなくても1年に1回になるかもしれない。今日たまたまOBの子が来てくれていました。27歳になったって挨拶に来てくれました。おめでたい話があって、司法試験に受かって弁護士になったと報告をしてくれました。彼はなんと、私たちの自慢だったのですが、習い事は美術しかしなかった。美術には色んな栄養があって、失敗しても、またそれをなんどもやり直せる。

そういえば、さっきペットボトルと伝統の陶器がそこにあったんです。お互いに言い分があって、ペットボトルはどうせ飲んだら捨てられてしまう。再利用される。でも、陶器は大事に何十年も使われている。人は陶器の方が優れているというかもしれない。でも時代がタイムスリップして3000年前に戻ったらどうなるでしょうか?落としても割れない、こんな美しい綺麗な入れ物、ということになる。
美術というのはそういうものであってほしい。「これは最低なものでしょ?」という話になった時に考え方や視点を変えて、そのものの他にはない良さや新たな使い道があることを見つけてほしい。それが美術で養える思考力です。

私は皆さんに美術家になってほしいとは思っていない。これから大人になった時にしなやかで柔らかい思考ができる人間になってほしい。必ず人生は壁にぶつかりますから、その時に折れず、しなやかな強さを持って生きてほしい。それが美術の中に込められている。

5年表彰の仲間たちは10年表彰のお兄さんたちが凄い、と思っているかもしれないけど、あなたたちも凄い。年少年中から通ってくれてありがとうございます。お兄さんお姉さんに負けないように続けてください。
 
そして私たちはこれからも皆さんと長く関わりたいから、森を買いました。埼玉県鴻巣市の「鴻巣アートの森」です。
美術をするというよりも、森で自然との関わりの中で他の人とは違うそれぞれの自分自身の良さを見つけてほしい。ポジティブな言葉を掛け会い、みんなでお互いの違いを認め合い、それぞれの美しさを語り合いたいです。

長くなりましたが保護者の皆様、本当にありがとうございました。
美術ってすごく、習い事にしてはあまりにも変わっていますよね。「術」だよ!魔術とか、忍術とか、錬金術とか催眠術とか、怪しいじゃない?だいたいかっこいいものや芯の通ったものは剣道とか柔道とか、道がつく。
何が違うのか調べると、剣道には型がある。でも芸術にはそれがない。柔術にも型がない。美術には型がないけど、美しさがあります。「美」という漢字には「綺麗」というイメージがあるけども「綺麗」が持つ表面的な美しさだけではなく、内面的な美しさのことを指すそうです。
子供たちが大人になってもしなやかに生きていけるように、私達はそのお手伝いをさせていただきます。
本日はありがとうございました。

いかがでしょうか。
説明はいりませんね。このお二人の言葉の中に、ずっと私達が伝え続けていることがギュッと詰め込まれています。
美術教室へのご相談やお問い合わせ、またネットで美術が学べるどこでもアートについても、お気軽にご連絡ください。

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