子供たちの成長に合わせたカリキュラム。美術教室の造形・絵画の課題はここまで考え抜かれている。

こんにちは。どこにいてもネットを通じて美術が学べる「どこでもアートきっず」、また東京・神奈川・埼玉・千葉で100を超える美術教室を運営する「芸術による教育の会」ブログ担当です。

週に1度の美術教室をはじめ、月に2課題のオンライン美術教室「どこでもアート」でも、毎回異なるテーマが提示されます。

子供たちが何気なく作っている工作や絵画などには、毎回異なる「ねらい」が定められており、1ヶ月、1年を通して全体の流れを考えて組まれています。

しかし、このカリキュラムはどのように決まっていくのでしょうか。
代表の寺尾さん、カリキュラム係副長の吉田さんに聞きました。

■子供たちの一年の成長に合わせたテーマを考える

インタビュアー(以下、イ):先日、講師の方々が次年度のカリキュラムについて会議しているところを少しだけ見学させていただきました。真剣な眼差しで議論されていたのですが、
毎回の美術教室で出されるカリキュラムというのはどのように決まっていくものなのでしょうか。

寺尾:枠組みは1ヶ月に1回は描画を描く、それからデザイン的なものもやらせたい、工作も1つ入れたい、そのバランスを取って偏らないように組んでいます。

吉田(カリキュラム係副長):少し細かくお話すると、はじめに年間の子供の成長に合わせて、月ごとの大きなねらいを決めます。この成長時期にはこの課題を入れようという形です。

寺尾:幼児であれば年少さん、年中さん、年長さんといるわけで、例えば年少さんの最初はまだ書けない状態なので、偶然にできる形とかオートマチックアートのような課題を入れてまず楽しませましょうね、というところから始めます。

それから糊の付け方をちょっと練習しなきゃねと、段階がありますので、それを踏まえて課題を決めていくということが基本的なことですね。

吉田:月の狙いを決めたら、次は毎週の課題の順番も決めていきます。
3月になってくると1年の集大成になってきますので、総合的な内容になってきたりとか。

より細かく説明すると、
年間の流れ→各月のねらい→週課題のねらいというように、大きなねらいに沿って各課題ごとのねらいが合っているかどうかを検証して、流れを作って組み合わせている形です。

寺尾:私たちはこのような「カリキュラムのねらい」というのをシビアに考えています。
子供たちにこれで何を伝えたいのか、どんなことを習得してほしいのか。
ですのでテーマよりも、現場となる美術教室でどのように子供たちにやらせるのか、指導の仕方のほうがはるかに重要なことなのです。

子供たちにテーマを伝えたときに様々な試行錯誤ができるように、そして色んなことを考えられるように。例えば「見本はこうですよ」と見せてしまってはそれで終わってしまうので、いかに子供たちを惹きつけて自由に創作させるかという工夫が一番大事なのです。

このような話はあくまでも机上での話なので、だからやっぱり現場にそのやり方を下ろすまでが一番大変ですね。
 

■新人の先生でも教えられるかどうかもしっかり検証しています

イ:そういった「やり方」については研究会で会議をするのですか?

吉田:はい、そうです。研究会で検証をして、その後にお試しレッスンをしてみて、それで先生たちが「大丈夫!」と確認してから各教室で子供たちに実践してもらいます。
お試しレッスンでは先行してその課題に取り組んでもらい、子供たちの様子をモニタリングして確認しています。
反応を確かめながら、その内容が良いか、もしくは変えるべきなのかを判断して、変更点があれば、例えば使う道具を変えてみたりと再検討になります。

寺尾:そのやり取りが、講師たちの間で共有している専用システム上にバーっと集まってくるんです。なぜなら新人の先生たちにもできるのかというところまでを、検証しなければならないからです。

ベテランの先生にはできても、新人の先生がそれだけ見てできなければいけない。
そのためのカリキュラムでもありますから。

吉田:例えば先生がそれぞれやり方を見て、そのままそっくり子供たちに伝えても、それが正しいかどうかは教室事情で全く違うのです。

寺尾:その人本人の言葉になっていなきゃいけないし、何しろ伝わらなきゃいけないから。
そして結果はその教室が繁盛しているかどうかで見るしかありません。
ですので結果は非常に厳しいです。
しかしだからこそ、それだけシビアにカリキュラムも考えられているということです。


(カリキュラムの原案。検証を重ね、講師たちの中でアイディアがどんどん磨かれていく。)

■Web美術教室「どこでもアート」のカリキュラムは?

イ:ではその美術教室のカリキュラムを踏まえて、Web美術教室の「どこでもアートきっず」はどうなっていくのでしょうか。

吉田:通常の幼稚園や保育園での教室で実施する、年間のカリキュラムを見ながらご家庭では作りにくいと思われるものは別の課題を用意するなどしています。
ご家庭では親御さんが教えてあげられることが前提になりますから、教室でしかできないような課題や、先生でないと教えにくい専門性の高いものなどは避けるようにしています。
基本は通常の教室と同じような課題になっています。

イ:例えばそれはどのような課題ですか?

吉田:教室での夏休みなどはスペシャル課題を入れてしまったりするので、みんなでやる海底探検であったり、教室内で設置して行うようなものは別の課題に変えていますね。
その他には藍染めなども、先生でないとなかなか教えるのが難しいので「どこでもアート」の場合には変えています。

そして出来上がった課題は、会員のみなさんにわかりやすくお伝えするために先生たちがつくり方の動画を撮影し、キャラクターなどを登場させて可愛く編集して「どこでもアート」の中で公開しています。
なので、そのための「動画で伝わりやすい課題かどうか」という点も、考えているポイントの一つですね!

イ:ありがとうございました!
 
 
いかがでしたか?
如何に毎回のテーマが作られているか、少しお伝えできたのではないかと思います。
 
 
芸術による教育の会では、オンラインで美術を学べる「どこでもアートきっず」を配信しています。30日間無料でご利用いただけて、先生たちへも質問できるようになっております。
近くに美術教室がなくても、全国のご自宅で学ぶことができますので、ぜひお気軽にお試しください。
 
その他のご質問もこちらよりお寄せください。




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